Photographer: Anna Moneymaker/Getty Images North America/>
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領が13日、選挙集会に臨んでいた際に右耳を撃たれたことを受け、金融市場ではトレーダーがセーフヘイブン(安全な避難先)と見なされる資産に殺到し、大統領候補としてのトランプ氏に関連する取引を再評価する可能性が高いと市場ウオッチャーらはみている。
ATFXグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トウィデール氏は「アジア時間15日早朝には、間違いなく保護主義的な流れや避難的な流れがあるだろう。金は最高値更新を試し、円が買われ、ドルも買われ、米国債にも資金が流入する」との見方を示した。
複数のメディアは連邦捜査局(FBI)の声明を引用し、容疑者をFBIが特定したと報道。当局は事件を暗殺未遂として扱っている。
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市場からのコメントは、今回の事件によって11月の大統領選でトランプ氏当選の公算が大きくなり、いずれ同氏の政策に最も影響される証券に焦点が移り、最終的には米国債にとってマイナスになる可能性があるとしている。
いわゆる「トランプ」トレードに関連する資産は、ドルや米国債、民間の刑務所運営会社やクレジットカード会社、健康保険会社の株式など幅広い。
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投資家は関税や移民、財政赤字を巡る共和党の政策がドル高や国債利回り上昇に加え、こうした関連する株式セクターにとってより有利な環境をもたらすと見込んでいる。
トレーダーはまた、関税に敏感な中国人民元など15日に予想されるボラティリティーを示す市場の指標を注意深く見守るとみられる。
BCAリサーチのチーフストラテジスト、マルコ・パピック氏によれば、今回の事件はトランプ氏の当選を後押しする可能性が高いため、債券投資家は特に注意を払うべきだ。
「債券市場はある時点で、トランプ氏のホワイトハウス入りの可能性がライバルの誰よりも高いことに気付くはずだ。そして、同氏の勝算が高まれば高まるほど、債券市場が混乱に見舞われる確率も高まるはずだと私は引き続き考えている」と同氏は語った。
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キャピタル・ドットコムの金融市場担当シニアアナリスト、カイル・ロッダ氏は、事件を受け暗号資産(仮想通貨)ビットコインと金に顧客の資金が流れ込んでいるを目にしていると明らかにし、「このニュースは米政治規範の転換点と、政治的暴力拡大の緊急事態を示している」と指摘。「市場にとって、これはセーフヘイブン取引を意味するが、非伝統的なヘイブンにより傾斜している」と述べた。
ビットコインの価格は6万ドルを突破した。