損害保険大手4社が、ホンダ株を売却する方針を固めた。4社は企業向けの保険料を事前に調整していた問題を受けて政策保有株をゼロにする方針を表明していたが、主要銘柄を手放し削減の動きを本格化する。 写真はホンダのロゴ。バンコクで22年3月撮影。(2024年 ロイター/Athit Perawongmetha/File Photo)/>
Miho Uranaka
[東京 2日 ロイター] - 損害保険大手4社が、ホンダ株を売却する方針を固めた。4社は企業向けの保険料を事前に調整していた問題を受けて政策保有株をゼロにする方針を表明していたが、主要銘柄を手放し削減の動きを本格化する。
事情を知る関係者3人が明らかにした。近くホンダが売り出しを決議する。東京海上日動火災、損保ジャパン、三井住友海上火災、あいおいニッセイ同和の損保4社以外の金融機関などもホンダ株を売却する見込みで、現在の株価水準であれば、売り出し規模は総額5000億円程度になる見通し。
ホンダは今年度、3000億円の自己株取得枠を設定しているが、6月末時点で実施していない。
ホンダ広報はロイターの取材に「当社から発表したものではない」とし、それ以上のコメントを控えた。損保各社の持ち株会社の東京海上ホールディングスとMS&ADインシュアランスグループホールディングスもコメントを控えた。SOMPOホールディングスの回答は期限までに得られなかった。
ホンダ株は損保大手が保有する政策投資株の中でも主要銘柄で、東京海上、損保ジャパン、三井住友海上では上位5位に入る。各社の持ち株会社が提出した24年3月期の有価証券報告書によると、4社が貸借対照表に計上したホンダ株の総額は合計3000億円超(みなし保有株を除く)。東京海上は1609億円、損保ジャパンが812億円、三井住友海上が730億円、あいおいニッセイ同和が28億円分を保有する。
4社は昨年12月、企業向け保険料を事前調整したとして金融庁から保険業法に基づく業務改善命令を受けた。金融庁は政策株の保有多寡などが契約シェアに影響したとして問題視。4社は今年に入り、段階的に削減する方針を打ち出していた。初年度にホンダのような主要銘柄を売却し、削減姿勢を鮮明にする。
有価証券報告書によると、4社は24年3月末時点で9兆円相当の政策株を保有する。トヨタ自動車や信越化学工業、伊藤忠商事なども上位銘柄に入る。
(浦中美穂 取材協力:白木真紀 編集:久保信博)