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アングル:7月FOMC、インフレの文言修正で利下げ開始示唆か

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2024-07-23 14:05

Howard Schneider[ワシントン 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が重視する個...

  米連邦準備理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)物価指数の前年比上昇率は、2021年の5月から7月にかけて3カ月連続でFRBのインフレ目標である2%の2倍を超える水準を記録した。写真は「貸家あり」の表示。2月8日、ニューヨークで撮影(2024年 ロイター/Shannon Stapleton)/>

  Howard Schneider

  [ワシントン 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)物価指数の前年比上昇率は、2021年の5月から7月にかけて3カ月連続でFRBのインフレ目標である2%の2倍を超える水準を記録した。これを受け、FRBのスタッフと政策立案者は同年9月にインフレについて控えめな表現を改め、「高い(elevated)」という文言を使うようになった。

  今ではPCE物価指数の上昇率は2.6%に鈍り、さらに下がり続けるようにも見えるが、連邦公開市場委員会(FOMC)声明には「高いインフレ(elevated inflation)」という表現がまだ残っている。

  来週30、31日のFOMCでついにこの表現がなくなれば、FRBが早ければ9月にも利下げに踏み切り、金融緩和サイクルに踏み出すという、これまでで最も強いシグナルになる。

  FRBがインフレについての表現を「elevated」からより穏やかなものに変更することで、声明の中のもう一つの重要な表現も変わる可能性がある。 「インフレが持続的に2%に向かっているという確信が深まる」まで利下げを行わないとしている部分だ。

  FRBのスタッフリポートはPCE物価指数の上昇率が3%を割り込んだことを受けて、今年1月には既にインフレについて「elevated」との表現をやめている。FRBの政策立案者もインフレが経済全体のより広範囲で減速し、この流れが続くとの確信を深めていると表明している。

  政策立案者は政策転換までの距離について「一段と近づいている(drawing closer)」という表現を使い始めている。

  アトランタ連銀のボスティック総裁は6月下旬の記者会見で、PCE物価指数の上昇率が2.5%以下になれば、インフレに関する文言の修正を検討すると示唆した。エコノミストの間では、7月26日に発表される6月のPCE統計で物価指数の上昇率がこの水準に達するか、もしくはこれよりも鈍化するとの見方が多い。

  リッチモンド連銀のバーキン総裁も先週、記者団に「FOMCに先立って新たなPCEデータが発表される。数値を確認し、適切な調整を行う」と述べた。

  <スタッフリポートが先行>

  文言の修正は妥当だと感じているエコノミストもいる。

  ルネッサンス・マクロの経済調査責任者、ニール・ダッタ氏は最近の分析で「FRBはインフレの鈍化をもっと積極的に認めるべきだ」と指摘。例えば労働統計局が開発した、CPIよりも早く足元の住居費の動きを補足する住宅インフレ指標は、第2・四半期を通じて家賃が下落し、「本格的な減速」を示していると論じた。ダッタ氏は「居住費のインフレは今後さらに鈍化する」とみている。

  FRBのスタッフは既に姿勢を変えたことが、最近のFOMCの議事要旨から分かる。

  昨年12月の会合では、入手可能なデータでインフレ率が3%であったため、FRBスタッフはインフレ率について「過去1年間で緩和したが、依然として高水準」と表現した。

  しかしFRBスタッフの翌月の会合では、12月のPCE物価指数の上昇率が2.6%に鈍化したことを受けて、スタッフリポートからインフレ率について「高い」という文言が消え、「1年の間に著しく鈍化した 」後、「2%超が続いた 」と記述した。

  経済に関するスタッフのコメントは注目度が低い。FRBのエコノミストの多くは米国の家計のお金のやり繰りに長期的な影響を与えるような行動を決定する立場にないからだ。しかしスタッフの見解は議論を形成する上、その論調の変化は政策の方向性を示すシグナルとなり得る。

  2021年の4月、6月、7月の声明では「インフレ率が上昇した(has risen)」という文言が使われた。PCE物価指数の前年比上昇率は2021年2月にはまだ1.8%だったが、3月には2.7%に加速した。この数字はFRBが同年4月にFOMCを開いた時点ではまだ発表されていなかったが、エコノミストたちは他のデータからこの数字を推測することができた。

  FRBスタッフは2021年9月に「高い(elevated)」と表現を変更し、FOMC声明もこの文言を踏襲した。

  FRBが重視するインフレ指標はそこからさらに上昇し続け、2022年6月に7.1%でピークを迎えた。それ以降の鈍化は急激で、しかも全面的だ。少なくとも足元では、財の価格は値下がりしている。パンデミック以前の10年間に全体のインフレを抑制していた要因が、再び働き始めた。

  賃金の伸びと「硬直的な」サービス価格の上昇は緩やかになっている。

  ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は先週の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、米国は「われわれが望んでいるディスインフレ傾向に近づいている」と述べた。

  インフレ・インサイツの代表で物価動向を注視しているオメール・シャリフ氏は、その証拠は明らかだと言う。

  シャリフ氏によると、基調ではなく一時的な振れとしか考えられない2024年初頭の高騰を除くと、過去13カ月のうち10カ月で基調インフレ率は平均してFRBの目標とする2%に達している。変動の大きい食品価格とエネルギー価格を除く基調的なインフレ率が低下し始めた昨年夏からの動きを見ると、「高いインフレ」という表現を削除するのは妥当であり、しかも9月のFOMCが最初の利下げの候補であることを示す良い方法になりそうだという。

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