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資産効果がインド経済を底上げ、高値更新の株式市場では「ハイクオリティ」を選別=UTIインターナショナルCEOに聞く

iconYAHOO·JAPAN

2024-07-22 15:39

UTIインターナショナルCEOのプラピーン・ジャグワニ氏(写真)に総選挙後のインドの状況と、今後のインド経済、インド株式市場の展望について聞いた。...

  提供:ウエルスアドバイザー株式会社/>

  インドで6月に行われた総選挙でモディ首相が3期目の政権を担うことが決まってから、インドの株式市場は史上最高値を更新し続けている。「SBI UTIインドファンド」や「SBI・UTIインドインフラ関連株式ファンド」の実質的な運用者であるインド最古の投信会社UTIグループ傘下のUTIインターナショナルCEOのプラピーン・ジャグワニ(Praveen Jagwani)氏(写真)に総選挙後のインドの状況と、今後のインド経済、インド株式市場の展望について聞いた。

  ――インドの総選挙が終わり、与党連合が勝利したことによって、モディ首相は3期目をスタートさせました。ただ、選挙の結果、モディ氏が率いるインド人民党(BJP)は議席数を大幅に減らし、単独過半数割れになりました。国民はモディ政権に不満をもっているのでしょうか?

  インドの国民は民主主義について、しっかりした考えを持っています。今回の選挙結果は、1人の人物が長期にわたって政権を担い続けることに一定の懸念を表したのだと思います。選挙の結果、野党が強い力を持つようになったので、政策へのチェック・アンド・バランスが働くようになったと考えています。

  ――選挙の結果を受けて、モディ政権の政策運営に変化はありますか?

  選挙の結果として、開発、教育、インフラ整備、貿易などの政策を担う大臣を含め、主要閣僚に変更はありませんでした。したがって、従来の政策に変化はないものと考えてよいと思います。

  ――選挙前には株価が一時的に下落するようなこともありましたが、選挙後、インド株指数(Nifty50、SENSEX)は上昇しています。株価の上昇は何を評価しているのでしょうか?

  株式市場については、インドの国内投資家と海外投資家の動向を分けて考える方が分かりやすいと思います。選挙の前後において、インド国内の投資家はインド株を買い続けていました。国内投資家の姿勢に変わりありませんでしたが、海外投資家の動きには変化がありました。

  インドの選挙の前に、インドというよりも、新興国について不透明感が強まってきていました。ウクライナやイスラエルでの紛争がなかなか終結の見通しがたたず、それによって先進国の政治も不安定になるのではないかという見方も出て、海外投資家が新興国株式全般に様子見の姿勢をとったのです。それまで買ってきたインド株についてはいったん売却をして様子を見るという動きをした投資家もいます。

  しかし、インドにおいてはモディ首相が3期目を務めることが明確になり、ここ数年の安定成長を実現してきたモディ氏が今後5年間は首相として政権を担っていくことがはっきりしたのですから、海外投資家も安心してインド市場に戻ってきたということです。

  ――インドの株式市場は近年、米国に次ぐ値上がり率を記録しています。株価はPER20倍超で過去10年の平均を上回るなど割高になっていませんか?

  インデックスは割高な水準に上昇しているといわれて強く反論はできません。ただ、インドの株式を3つのカテゴリーに分けて考えるなど細かく分析していくと、魅力的な銘柄も見えてきます。

  3つのカテゴリーとは、「ハイクオリティ」、「中小型株」、そして、「国営企業」です。この中で、銀行、電力、鉱山などに多い「国営企業」には割高な銘柄が多いといえます。また、「中小型株」にも割高になった銘柄が少なくありません。

  「ハイクオリティ」には、依然として割安な銘柄が多くあります。「ハイクオリティ」とは、どのような経済環境になっても毎年、フリーキャッシュフローを生み出し続けることができる企業のことです。一般消費財関連、また、ITサービスなどの分野に多く存在します。たとえば、インフォエッジという会社は、主要な4つのポータルサイトを運営していますが、住宅関連情報(賃貸・売買)、求人情報、結婚や出会い、そして、教育やグルメなど、人々が生活していくうえで必要な情報を提供しているため、常に利用され安定的な収益を生み出しています。このようなサービスを提供している企業が「ハイクオリティ」といえます。

  割安な水準にある「ハイクオリティ」企業は、大型・中型・小型など企業規模を問わず存在しているので、それらを丁寧にリサーチしてピックアップしていくことが重要です。

  ――今後のインド経済、インド株式市場の見通しを教えてください。

  2020年から2025年にかけて、インドは年率6%程度の経済成長を遂げてきましたが、これから5年くらいは年率7%程度の成長が期待できる非常に強い経済がやってくると考えています。国民が豊かになり、住宅や株式などの資産を保有し、その資産価値が高まることによって一段と豊かになるという資産効果が明確になってきています。

  資産効果は2008年頃から徐々に表れてきていたのですが、2022年頃から不動産と株価の上昇によってより明確になってきました。資産価値が高まることによって、消費が促され、消費主導で高い経済成長を実現するという段階に入っています。この高い経済成長を背景としてインド株式市場も堅調な展開が続くと考えています。

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