政府が近く閣議了解する2025年度予算の概算要求基準案が22日、判明した。円安に伴う物価高騰対策に加え、賃上げに向けた施策でも予算の金額を示さない「事項要求」を容認する。資料写真、都内で2017年9月撮影(2024 ロイター/Toru Hanai)/>
Takaya Yamaguchi
[東京 22日 ロイター] - 政府が近く閣議了解する2025年度予算の概算要求基準案が22日、判明した。円安に伴う物価高騰対策に加え、賃上げに向けた施策でも予算の金額を示さない「事項要求」を容認する。ロイターが素案を確認した。
予算編成に先立ち、政府は経済・財政運営の指針(骨太方針)で、33年ぶり水準となる賃上げの流れを定着させる方針を掲げた。金利ある世界を見据えて国債費が膨らむことも予想され、要求額は4年連続で110兆円を超えそうだ。
素案では、国債費を除く前年度予算額(84.1兆円)のうち、裁量的経費や義務的経費の削減を求めている。一方、削減額に応じた4兆円規模の「重要政策推進枠」も設け、看板政策への要求を認める。
物価高騰対策や賃上げ促進環境整備対応を含めた重要政策については「必要に応じて重要政策推進枠や事項のみの要求も含め、適切に要求・要望を行い、予算編成過程において検討」すると明記する。
防衛費は「防衛力整備計画を踏まえ、所要の額を要求」するとしている。こども・子育て支援では「こども未来戦略」に基づいて対応すると記す。
基準に沿って各省庁からの予算要求を8月末に締め切り、予算編成作業に着手する。当局者からのコメントは得られていない。
政府は、赤字続きの基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を25年度に黒字転換させる財政目標を掲げており、同年度予算をどう編成するかは目標達成の成否に直結する。
要求を丸のみすれば歳出がさらに膨らみ、目標そのものの立て直しが必要になる。野放図な財政運営を続ければ日本国債の信認低下を通じて民間金融機関の調達コストに跳ね返り、かえって景気を冷やす懸念もある。