桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)/>
―米国株も変調続く、週明けは世界的なリスクオフが波及―
22日の東京株式市場では日経平均株価が大幅続落、フシ目の4万円大台を下回っただけでなく、一時は500円を上回る下げで一気に3万9500円台まで水準を切り下げる場面があった。前週末の欧米株が軟調となり、米株市場では半導体などハイテク株安を反映しナスダック指数の崩れ足が目立ってきた。東京市場でもこの流れに追随する展開にあるが、上昇トレンドは目先終了か、それともここは強気に押し目に買い向かうべきか判断に迷うところだ。米国の経済や株式の動向にも詳しい第一生命経済研究所の桂畑誠治氏に話を聞いた。
●「目先リスクオフも押し目買い有効」
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
東京市場では日経平均がここ下落基調を強めており、きょうは前週末の米株安に追随して4万円大台を下抜ける形となった。7月に入ってから上げ足を加速させたが、その上昇分を7月中旬以降の下落で帳消しにした形となっている。ただ、過度に弱気になる必要性には乏しいと考えており、結論を先にすれば日経平均3万9000円台近辺は強気に買い向かってよさそうだ。需給先行で売り込まれているものの、ファンダメンタルズ的には売られ過ぎている部分も大きいと思われる。
まず、注目すべきは米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が緩和の方向に向かいつつあること。今週末26日に発表予定のPCEデフレーターは5月と比べて伸びが鈍化する公算が大きく、FRBが9月から利下げを開始するとの見方を後押ししそうだ。これを受けて7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではインフレ圧力の緩和を評価する声明文に加え、会合後のパウエルFRB議長の記者会見でもインフレ抑制に対する前向きな発言が予想される。現状で9月、11月、12月の年内3回の利下げを期待する見方も浮上しているが、8月2日に発表が予定される7月の米雇用統計で労働需給の緩和が一段と意識されれば、これを後押しするケースも考えられる。
更に、企業業績は日米ともに好調であり、これから四半期決算発表が本格化するが、通期予想はいずれも上振れ余地を内包している。特に日本の場合は、外国為替市場で足もと円高方向に押し戻されているとはいえ企業の設定為替レートと比べ、まだはるかに円安水準にあり追い風は強い。東京市場における当面の物色対象としては、半導体関連は売られ過ぎのリバウンドが期待できそうだが上値も限定的といえ、短期の値幅取り狙いであれば一考。このほか、百貨店や外食などの消費関連株は依然として上値余地があると考えている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
株探ニュース(minkabu PRESS)