<チェック・ポイント>
●ECB、「物価上昇圧力は以前強い」と指摘
●ラガルドECB総裁、「9月会合は未知数」と
●市場、9月利下げ織り込むも一部では年内据え置きとの見方
ECB(欧州中央銀行)は18日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を4.25%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。ECBは前回の6月会合で8年3カ月ぶりに利下げをしており、据え置きは2会合ぶり。また、下限の中銀預金金利を3.75%、上限の限界貸出金利を4.50%に、いずれも据え置いた。
ECBは声明文で、物価上昇圧力が依然として高く、特にサービス部門のインフレ率が上昇傾向にあると指摘。25年も物価目標を上回ると予想している。そのうえで、今後の金融政策の方向性を示すフォワードガイダンス(金融政策の指針)について、目標の2%上昇に戻るまで「政策金利を十分に制限的な水準に維持する」とし、「特定の金利経路を事前に約束しない」と、追加利下げに慎重な姿勢を示した。
2日に発表された6月のユーロ圏HICP(消費者物価指数)は前年比2.5%上昇と、5月の2.6%上昇からやや伸びが鈍化したが、サービスインフレは同4.1%上昇と、高止まりしている。
ECBのラガルド総裁も会合後の会見で、次回9月会合以降の利下げの可能性について言及せず、「(9月会合で)ECBが何をするかは完全に未知数だ。事前に決められた道筋はないと」と述べるにとどめている。
市場では、9月会合で利下げするとの見方が依然として多く、12月に3回目の利下げも織り込んでいる。ただ、今回の会合での「事前に決められた道筋はない」との総裁発言を受け、市場の一部ではECBはユーロ圏経済と賃金の伸びが堅調なことから、追加利下げは急がず、年内は利下げを控える可能性が高いという見方も強まっている。
なお、24年下期からQE(量的金融緩和)脱却を段階的に開始するとの方針も変えていない。を決めており、今回の会合でもこの方針が確認された。
現在、ECBは21年12月会合での決定に従って、新型コロナ危機対策として導入したPEPP(緊急債券買い入れプログラム)によって買い入れた保有国債の満期償還金の全額を再投資しているが、今回の会合でも24年下期から再投資の規模を月平均75億ユーロのペースで縮小を開始、24年末に終了する計画。
次回の会合は9月12日に開かれる予定。