7月19日、日銀は9―10日にかけて実施した債券市場参加者会合の議事要旨を公表した。写真は昨年1月、日銀本店で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)/>
Takahiko Wada
[東京 19日 ロイター] - 日銀は19日、9―10日にかけて実施した債券市場参加者会合の議事要旨を公表した。国債買い入れの減額について、材料出尽くし感を醸成するために「今後2年程度で目指す減額幅を一気に達成してしまうのが良い」とする意見が出る半面で、「段階的な減額」や「減額は慎重に」といった意見が目立った。
日銀は9日に会合で用いた説明資料を公表し、事前に参加金融機関から聞き取った意見を列挙した。議事要旨によると、説明資料に掲載されていた意見も改めて当日出されていたが、実際にどういう意見が多かったかは引き続き明らかになっていない。
国債買い入れの大幅な減額を支持するものとしては、材料出尽くし感を出すために2年程度の減額幅を一気に達成すべきとの意見のほかに「当初段階で買い入れ金額を大きく減らしたとしても、日本銀行の国債保有額はなお大きいため、ストック効果が持続し、過度な金利上昇は生じないのではないか」といった意見も出された。
一方で、急激な減額がボラティリティ上昇につながることを警戒する意見が2つ見られたほか、「預金取扱金融機関がどこまで金利リスクを取れるかは、外債投資スタンスや国内の預貸金の動向など様々な要素に左右されるため、不確実性が大きい」として「減額は慎重に進めるべきだ」との意見も見られた。買い入れ減額の材料が出尽くすだけで投資家需要が大きく増えるかは不透明だとして「段階的な減額の方が望ましいのではないか」との意見もあった。
<買い入れ額、3兆円と4兆円の支持が2つずつ>
国債買い入れの減額幅については、説明資料で見られた意見が議事要旨にも載っていたが、議事要旨では新たに「3兆円程度まで減額すれば、大幅な減額を行うというメッセージが明確となるほか、発行に対する買い入れ比率も相応に低下し、市場機能度の改善が期待できる」、「過度な減額をすると需給バランスが崩れ、国債市場の機能度が低下してしまうので、4兆円程度までの減額がよい」との意見が見られ、9つの意見が並ぶ中、3兆円と4兆円を支持する意見がそれぞれ2つずつ掲載された。「2―3兆円程度までの減額」を支持する意見も1つ見られた。
このほか、説明資料では見られなかった意見として「海外投資家の需要がコンスタントにある中期ゾーンを中心に減額すべき」との意見が見られた。
日銀の大規模な国債保有が財政の健全性に対する一部海外投資家の懸念につながっている現状を踏まえれば「1―2年間の減額計画を示すにとどまらず、より大胆かつ長期的な減額計画を示すことが望ましい」とする意見も出ていた。
債券市場参加者会合の議事要旨は通常、開催から3週間程度で公表されるが、今回は臨時の会合という位置づけのため、開催から10日での公表となった。
日銀は債券市場参加者会合で出された意見も踏まえ、30日からの金融政策決定会合で今後1―2年程度の具体的な国債買い入れ減額計画を決める。