9日、米国株式市場のS&P総合500種は、代表的な時価総額加重平均の指数が均等加重平均をトータルリターンで大きく上回り、格差は2009年以来15年ぶりの大きさに広がっている。2016年撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)/>
Ankika Biswas
[9日 ロイター] - 米国株式市場のS&P総合500種は、代表的な時価総額加重平均の指数が均等加重平均をトータルリターンで大きく上回り、格差は2009年以来15年ぶりの大きさに広がっている。米半導体大手エヌビディアやマイクロソフトなど人工知能(AI)関連の超大型銘柄に投資マネーが片寄っているためだ。
最近のS&P総合500種は連日で史上最高値を更新しているものの、超大型銘柄群の地合いが悪化すれば2024年の上昇相場が終わりかねないとの懸念が広がっており、投資先銘柄を分散する必要性は高まるばかりだ。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータによると、S&P総合500種の時価総額加重平均と均等加重平均の指数のトータルリターン格差は、今年上半期に10.21%まで拡大した。
セテラ・インベストメント・マネジメントのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ブライアン・クリムケ氏は、企業の利益や資産などの価値評価を示すバリュエーションが高く、値上がり期待も強いことは「市場波乱をもたらすリスクがある」と指摘。「高い成長期待に応えられなければ、主要指数は下落するだろう」と警鐘を鳴らす。
同氏によると、S&P総合500種の上位10銘柄は現在、時価総額加重平均の指数に占める割合が40%強を占めていたITバブル(ドットコムバブル)時代の水準に近づき始めている。
こうした中、市場では比較的価格水準が低いセクターに焦点を当ててポートフォリオを拡大することに投資価値を見いだす動きが出ている。
ダコタ・ウェルス・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、ロバート・パブリク氏は金融やヘルスケア、エネルギーなどの銘柄に熱い視線を注ぐ。同氏は「最良の銘柄を選ぶことに集中し、指標への注意は二の次で」と話す。
一方で、米連邦準備理事会(FRB)の利下げで中小型株が下支えされる可能性があることから、時価総額加重と均等加重の2つ平均指数の差は縮まるとの予想も広がっている。