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アムンディは2024年7月の「Global Investment Views」を発表し、全体的なリスクセンチメントは中立を維持した。「市場のセンチメントはポジティブで業績見通しは妥当だが、バリュエーションは高い」というスタンスを維持している。その中で、先進国株式においては、英国に対するポジティブ‧スタンスを引き下げた。新興国株式はアジア各国の成長ストーリーやメキシコなどをポジティブに評価している。また、今後の主要国の金融政策について「FEDは今年中に2回、合計50bpsの利下げを実施するだろうとアムンディは考えている。一方、ECBは、FEDより先に5年ぶりの利下げを実施し、利下げサイクルに入った。ECBはサービス・インフレと賃金上昇圧力が収束しつつあるとの確信を得たため、今年中に、さらに3回の利下げを実施すると思われる。英国では、イングランド銀行が8月から利下げを開始し、年内で合計4回の利下げを実施する可能性が高い」との見解を示した。
日米の株式市場が7月に史上最高値を更新し、欧州株式市場が5月の高値から調整を続けている。米国は5%台に引き上げた政策金利をいつ引き下げに転じるのか、今年はスローダウンするとみられていた米国の景気が意外に強い。そして、欧州の選挙で現状の変革を望むような選挙結果が出ていることは今後の市場環境にどのような影響を与えるのか? 変化し始めた様々な要因に対して、どのような姿勢で臨めばよいのか、投資家は慎重に見極めようとしているのではないだろうか。有力な運用機関の見通しなどを参考にして自身のスタンスを固めておきたい。
アムンディは、米国の経済状況について、「米国の労働市場は緩やかな軟化を示唆している」と分析している。「このことは、今年後半には消費の伸びがより顕著に鈍化し、全体的な経済成長に影響を及ぼす可能性が高いことを示唆している」とする。このため、6月には利下げを見送った米FRBは、「今年中に2回、合計50bpsの利下げを実施するだろう」と見通している。
そして、米国株式市場については「成長株には慎重。均等配分、クオリティ、バリューにはポジティブ」という見方だ。「人工知能(AI)が企業やマクロ‧レベルでの収益を増加させるとの期待から、最近、過去最⾼値を更新した。しかし、今後5年から10年の間にAIが経済全体の収益を押し上げるかどうかという点には⼤きな疑問が残る」として割高な水準にある成長株については慎重なスタンスだ。「堅固なバランスシートと妥当なバリュエーションを持つセグメント‧リーダーを発掘することに重点を置いている。ハイテク偏重の市場とは対照的に、均等配分のインデックスを選好する」という。そして、AIの過度な高揚リスクを伴わない金融や銀行などのセクターポジティブをに評価し、クオリティの高い素材部門やバリューを重視しているという。
欧州と英国株式については、「やや力強い成長見通しと利下げ期待から、ややポジティブなスタンスを維持する。英国株は、依然、ディフェンシブな傾向が強く、配当利回りも高く、魅力的な株価水準が継続している」というが、前月と比較するとやや慎重な見方に修正している。そして、新興国株式については「新興国株を取り巻く環境は建設的とみている。加えて、新興国株はグリーン転換などいくつかのグローバル‧テーマからも恩恵を受けるだろう」としてポジティブだ。「インドネシア(金融)、韓国、インドなどの構造的な成長ストーリーは、内需と輸出を背景に長期的にうまくいく可能性が高い」と評価している。
一方、債券については、「すでに欧州中銀が緩和サイクルに入った中で、国債は、戦略的、⻑期的視点から良好な価値を提供すると思われる。全体的として、米英のデュレーションでのアクティブ‧アプローチにはチャンスがあると考える。また、選別する必要はあるものの、利回りを⾼める観点からは先進国社債や新興国債券が魅⼒的である」としている。(イメージ写真提供:123RF)