注文住宅の新築および新築分譲住宅の購入は子育て世帯や若者夫婦世帯が対象だが、リフォームはそのほかの世帯でも適用される(出所:国土交通省「子育てエコホーム支援事業」)/>
新築で買ったわが家のマンションが築20年を過ぎ、リフォーム適齢期を超えてきた。この間、窓の断熱改修と仕事部屋の床暖房設置を行ってきたが、これは必要を感じたから。リフォームで最も費用のかかる水まわりのリフォームについては、特に故障したわけでも老朽化が目立ってきたわけでもないので、なかなか踏ん切りがつかないでいた。
■補助金もあるので浴室リフォームを決意
水まわりで一番リフォームしたかったのは、浴室だ。理由は、お風呂のお湯が冷めやすいこと、洗い場の床の水はけが悪く、白っぽい汚れが付いてなかなか落ちないこと。
実は最近のユニットバスは、魔法瓶のように浴槽をすっぽりおおう「高断熱浴槽」や、水はけが良くて早く乾燥する床が一般的になっている。なので、冷めにくい、からっと乾く床にしたいと常々思っていた。
そんななか、「子育てエコホーム支援事業」の補助金もあるし、お風呂掃除も面倒になってきたしで、ついに浴室のリフォームを決意した。
高断熱浴槽と水はけの良い床がスタンダードのユニットバスに、浴槽のお掃除機能のオプションを付けることにした。ボタン一つで浴槽内の専用ノズルから洗剤の噴射からお湯による洗浄までやってくれるので、手洗いは2週間に1回で済むという。
さて、子育てエコホーム支援事業は、住宅の新築では、子育て世帯(18歳未満の子を有する子育て世帯または夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯)のみが補助金の対象になる。
しかし、リフォームに関しては子育て世帯でなくても補助金の対象になるのだ。だれでも定められたリフォームをすれば補助金(原則20万円)の対象となり、子育て世帯であれば補助額の上限が増える(原則30万円)という特典がある。
※補助額の上限は、一定の条件を満たした場合に上乗せがあり、子育て世帯は最大で60万円、その他の世帯では最大で30万円となる。
■対象となる工事、実際の試算例は?
また、エコホームというからには、省エネに資するリフォームが対象だ。必須工事は3つあり、筆者が行う浴室のリフォームは、高断熱浴槽が「必須工事3.エコ住宅設備の設置」に該当する。必須工事と同時に行うその他の工事も、補助金の対象になるものがあり、組み合わせて使える点もメリットだ。
わが家の場合は、高断熱浴槽で3万円の補助金となるが、節湯水栓や浴室乾燥機、手すりの設置、段差解消で、合わせて7万円の補助金と試算された。
ただし、登録された事業者と工事請負契約を結ぶこと、補助額が5万円以上になることなどの条件があるうえ、期限もあるので、細かい点に注意を払う必要がある。
実は、子育てエコホーム支援事業を利用する予定で計画をしていたところ、東京都の補助金の対象にもなることがわかった。東京都では「既存住宅における省エネ改修促進事業」という補助金の制度があるが、2023年度の制度では対象になっていなかった高断熱浴槽が、2024年度から対象に加わったのだ。
子育てエコホーム支援事業とも併用が可能なので、リフォーム事業者に東京都の申請もお願いすることにした。東京都の補助制度の場合に対象となるのは、高断熱窓・高断熱ドア・断熱材・高断熱浴槽など。
ただし、契約前に事前に申し込みをして、クール・ネット東京事務局から受付通知を受け取る必要がある。わが家の場合は契約前に何とか間に合ったので、とてもラッキーだったと思う。
補助金の額は、「助成対象経費の1/3」か「1住戸当たり9万5000円」か、いずれか小さい額となっている。助成対象となる材料費や工事費について確認したところ、わが家の場合は、おおよそ5万5000円程度の補助額となる見込みだ。
このように、国の制度だけでなく、自治体の補助金制度も利用できる場合がある。リフォーム事業者は全国共通の国の制度には詳しいが、個別の自治体(都と区、県と市などで異なる制度がある場合も)の制度には詳しくない場合があるので、自身でも調べておきたい。
■省エネリフォームに関する補助金は多い
これまではわが家がリフォームする高断熱浴槽の補助金を紹介したが、政府が力を入れている省エネについては、さまざまな補助金がある。
たとえば、「住宅省エネ2024キャンペーン」として、国土交通省の子育てエコホーム支援事業に加え、高断熱窓の設置=「先進的窓リノベ事業」(環境省)と高効率給湯器の設置=「給湯省エネ事業」(経済産業省)が連携している。いずれかの工事を行うと、子育てエコホーム支援事業の必須工事を行ったと扱われるので、上手く組み合わせて利用することができる。
省エネリフォームを行った場合、補助金のほかに減税(所得税および固定資産税)の対象にもなる。ただし、窓の断熱改修が必須工事となっているので、わが家のように浴室リフォームでは減税対象にならない。
さて、子育てエコホーム支援事業では、必須工事と合わせて行う「空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置」も補助金の対象になる。エアコンの冷房能力によって、2万6000円(3.6kW以上)、 2万3000円(2.2kW超~3.6kW未満)、1万9000円(2.2kW以下)の補助額となる。
これに加えて、東京都の場合、一定水準のエアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具を買い替えた場合、「東京ゼロエミポイント」がもらえる。省エネ性の高いエアコンに買い替えれば、省エネ性や冷房能力によって9000ポイントから2万3000 ポイントがもらえる。
なお、現行(2024年9月30日までの購入分)の制度ではポイントは商品券とLED割引券として提供されるが、2024年10月以降は登録された店舗で買い替えると、店頭で値引きされるように変わる予定だ。
子育てエコホーム支援事業では対象のエアコンを設置するのが条件だが、東京ゼロエミポイントは買い替え(既設を処分して対象商品に交換)が条件となるので注意したい。
■補助金はそれぞれに手順が異なり予算枠も
さて、補助金は減税と異なり継続的なものではなく、毎年国や自治体が、補助事業の詳細を決めて、それぞれ予算を確保して実施するものだ。そのため、年によって補助対象の条件が厳しくなったり拡充されたりといったこともあれば、その年の予算枠に達した段階で補助が受けられなくなったりする。翌年にはその補助事業が実施されないということもある。
手続きなどもそれぞれの事業によって異なる。たとえば、子育てエコホーム支援事業では、適用条件が一般の人にはわかりづらいこともあり、事前に補助事業に登録した事業者が申請を代行する形になっている。そのため、リフォームを依頼した事業者が登録事業者でなければ、補助は受けられない。
また、東京都の補助事業では、契約前に事前に申請が必要で、工事を実施した後で申請しても対象にならない場合が多い。また、東京ゼロエミポイントは、購入店舗などがサポートはしてくれるものの、購入した人が自身で申請することになる。交換前と交換後のエアコンの型番などを撮影する必要もあるので、うっかり撮影し忘れると申請ができなくなる。
したがって、補助制度に関する情報を的確に集めたうえで、補助金の対象となるかだけでなく、予算枠や手続きの手順などにも注意を払う必要がある。リフォーム事業者にあらかじめ補助金を使いたいと伝え、よく相談することも大切だ。
リフォームには当然ながら費用がかかるが、補助金や減税などで一部を取り戻せば負担を軽減できる。「補助金がもらえることを知らなかった」「補助金がもらえると思っていたのにもらえなかった」といったことのないように、しっかり確認してほしい。