■米長期金利低下でリスク選好的なドル買いは一段落
今週のドル・円は伸び悩み。週前半は日米金利差を意識したドル買い・円売りが強まり、一時162円に接近した。フランスの政治不安を嫌気したリスク回避的な円買いが縮小したことも影響したようだ。ただ、7月4日の米国の祝日を前に持ち高調整のドル売りが観測されており、ドル上昇は一服した。週後半は米長期金利の低下を受けたドル売り・円買いが優勢となった。
5日のニューヨーク外為市場でドル・円は160円35銭まで下落後、161円33銭まで買われたが、ドル買いは長続きせず、まもなく161円を下回った。この日発表された6月雇用統計で失業率は上昇し、平均時間給の伸び率は鈍化したことから、年内利下げ観測が強まりドル売りが優勢となった。ドル・円は160円79銭で引けた。今週のドル・円の取引レンジは160円35銭から161円95銭となった。ドル・円の取引レンジ:160円35銭-161円95銭。
【来週の見通し】
■下げ渋りか、クロス円の値動きに影響される可能性
来週のドル・円は下げ渋りか。米インフレ指標の鈍化が見込まれ、引き締め的な金融政策の後退でドル売りが一時的に強まる可能性がある。ただ、ユーロ・円、ポンド・円、豪ドル・円などクロス円レートは株高を意識して底堅い動きを保っており、目先的に米ドル・円はクロス円レートの動向に影響される可能性がありそうだ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は7月2日、欧州中央銀行(ECB)主催の会合で、足元のインフレ圧力低下を認めながらも、利下げに先立ちそれを確証するデータを確認する必要があるとの認識を示した。9日に予定される証言でもほぼ同じ内容の見解が予想される。同氏の発言を受けて長期金利の上昇は抑制され、リスク選好的なドル買いはやや縮小する可能性がある。なお、11日発表予定の6月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+3.4%と予想されている。市場予想と一致、または下回った場合、9月利下げの可能性をやや高める材料になる。
【パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長証言】(7月9日開催予定)
7月9日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の証言で、引き締め的な政策方針を維持するか注目される。この場で早期利下げに慎重な見解が表明された場合はドル高要因となろう。
【米・6月消費者物価コア指数(CPI)】(7月11日発表予定)
7月11日発表の米6月消費者物コア指数(CPI)は前年比+3.4%と予想されている。市場予想と一致、または下回った場合、インフレ鈍化を意識してドル売り要因に。
ドル・円の予想レンジ:159.00円-162.00円
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