■株式相場見通し
予想レンジ:上限41100円-下限39900円
7月5日の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比67.87ドル高(+0.17%)の39375.87ドル、ナスダックは164.46ポイント高(+0.90%)の18352.76、S&P500は30.17ポイント高(+0.54%)の5567.19で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値150円高の41010円で取引を終えた。
日経平均は日足ベースでは、25日移動平均線との上方乖離率は4.4%、200日移動平均線とは13.1%に留まっており、3月から4月に見られた「25日移動平均線+7%乖離」や「200日移動平均線+20%乖離」と比べると短期的な過熱感は乏しい。個別銘柄では、三菱重工業
7月下旬あたりから3月期決算企業の第1四半期業績発表が増えてくることで、今後、決算への期待感を材料に主力株が買われる可能性はある。第1四半期決算のタイミングで、今期予想を早々に上方修正する企業は少ないと思うが、「TOPIXの史上最高値更新」を見た外国人投資家が日本株買いに走れば、日経平均やTOPIXは上値追いの展開となる可能性もある。
市場では、来週決算日を迎える上場投資信託(ETF)の売りが警戒されている。投資家への分配金を捻出するために売りが入るとの見込みで、証券会社による試算では、現物株と先物の合計で1兆円から1.3兆円ほどとのことだ。毎年、この時期になると話題となる話なので、既に織り込まれており影響は限定的との見方だが、昨年の日経平均の年間高値は7月3日(33753.33円)につけているので、投資家心理としては気になるところだ。需給面でのネガティブイベントが控えているため積極的な売買は手控えられて、来週の東京市場は様子見ムードが強まる可能性はある。個別株を含め、足元の上昇に対する過熱感を冷ますような小さな調整を想定する。
なお、為替は1ドル160円台で推移している。政府・日本銀行による円買い介入観測は引き続き強いが、「急ピッチ」な円安ドル高が進行しているわけではないので、円買い介入は実施しにくいとの見方が強い。日銀会合の2-3週間前あたりから、日銀関係者による情報が伝わり始めることで、日銀会合リーク情報を巡る為替市場や金利市場の動向に要注目となろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米インフレ指標の鈍化が見込まれ、引き締め的な金融政策の後退でドル売りが一時的に強まる可能性がある。ただ、ユーロ・円、ポンド・円、豪ドル・円などクロス円レートは株高を意識して底堅い動きを保っており、目先的に米ドル・円はクロス円レートの動向に影響される可能性がありそうだ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は7月2日、欧州中央銀行(ECB)主催の会合で、足元のインフレ圧力低下を認めながらも、利下げに先立ちそれを確証するデータを確認する必要があるとの認識を示した。9日に予定される証言でもほぼ同じ内容の見解が予想される。同氏の発言を受けて長期金利の上昇は抑制され、リスク選好的なドル買いはやや縮小する可能性がある。なお、11日発表予定の6月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+3.4%と予想されている。市場予想と一致、または下回った場合、9月利下げの可能性をやや高める材料になる。
■来週の注目スケジュール
7月8日(月):毎月勤労統計(5月)、日銀支店長会議、地域経済報告(さくらリポート)(7月、日本銀行)、米・消費者信用残高(5月)、露・印モディ首相が訪問(9日まで)、など
7月9日(火):工作機械受注(6月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が上院銀行委員会で証言、米・北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(11日まで)など
7月10日(水):国内企業物価指数(6月)、中・消費者物価指数(6月)、中・生産者物価指数(6月)、NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・パウエルFRB議長が下院金融委員会で証言など
7月11日(木):コア機械受注(5月)、対外・対内証券投資(先週)、英・鉱工業生産指数(5月)、独・CPI(6月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・消費者物価コア指数(6月)、米・アトランタ連銀総裁が講演、米・セントルイス連銀総裁が質疑応答に参加など
7月12日(金):鉱工業生産(5月)、「生活意識に関するアンケート調査」(第98回)の結果(日本銀行)、米・生産者物価コア指数(6月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(7月)など