(ブルームバーグ): ドイツの5月の製造業受注指数は前月比1.6%低下し、予想外のマイナスとなった。欧州最大の経済大国の景気回復に水を差す結果となった。
4日に発表された指数は、5カ月連続で前月を下回り、ドイツ製造業の持続的な苦境を浮き彫りにした。アナリストの予想は0.5%の上昇だった。前年同月比では8.6%低下した。
発表によると、平均を上回る大量受注がなければ、落ち込み幅はさらに拡大していたとみられる。ユーロ圏外からの需要が著しく減少した。
独経済・気候保護省は「製造業における最近の景況感の悪化と相まって、今後数カ月間の産業界の勢いがかなり弱まることを示唆している。受注が安定するのは、世界貿易が回復を続け、工業製品の需要が徐々に回復してからだろう」と述べた。
それでもドイツ連邦銀行(中央銀行)は先月、「成長は引き続き逆風に直面しているが、明るい材料も増えている」とし、4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)は「わずかに」増加するとの見通しを示した。
賃金上昇が家計の支出を後押しするため、今年後半の独経済はより力強いものになると予想されている。緩やかなインフレも追い風になるとみられる。6月の消費者物価上昇率は前年同月比2.5%と、5月の同2.8%から低下した。また、ユーロ圏全体の物価上昇も緩やかになっていることから、欧州中央銀行(ECB)が今年中にさらなる利下げを行う可能性が高まっている。