4日の東京市場では、日経平均株価だけでなく東証株価指数(TOPIX)も史上最高値を更新した。時価総額を指数化したTOPIXは市場全体の好不調を測るバロメーターであり、バブル期の高値を超えたことは「日本株市場が新たな局面に向かう象徴だ」(藤岡智男・大和証券専務)との声も上がっている。
年明け以降、上昇基調が目立っていたのは人工知能(AI)ブームに乗った半導体株だが、銀行株などは出遅れていたため、TOPIXは日経平均と比べ上昇の勢いが鈍かった。しかし、最近は銀行株も含む幅広い銘柄に買いの対象が拡大。日銀の金融政策の変化が金利上昇による銀行の利ざや改善を連想させる上、円安進行が「上場企業全体の業績にはプラス」(エコノミスト)とみる向きも多いためだ。
日本株が大きく動くのは4~6月期決算が発表される7月下旬以降との見方もあったが、市場は好決算を先取りし、買いを急いでいる。市場関係者の間では「日本株の保有を減らしていた海外投資家が『持たざるリスク』を意識し始めた」(大手証券)として、海外勢が主導する一段の株高への期待感も出ている。
ただ、4日のプライム市場の売買代金は4兆1000億円強と2月の平均値に比べ1兆円ほど少なく、まだ海外勢の買いは限定的だ。最近の上昇スピードが速かっただけに、「5%程度の上昇は簡単だが、反対に5%程度の下落も常にある」(銀行系証券)など、反動を警戒する市場関係者も少なくない。