みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行・ 加藤勝彦頭取(写真)は、日銀の金融政策について、今年度中に0.5%程度まで2回利上げする可能性があるとの見方を示した。写真は6月27日、都内で撮影(2024年 ロイター/Anton Bridge)/>
Miho Uranaka Anton Bridge
[東京 2日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行・ 加藤勝彦頭取は、日銀の金融政策について、今年度中に0.5%程度まで2回利上げする可能性があるとの見方を示した。買い入れを減額する日銀に代わって国債の購入を増やすかどうかについては、市場の動向と資産構成をにらみながら運用に取り組むと話すにとどめた。
日銀は3月にゼロ金利政策の解除を決め、追加利上げの時期とペースが焦点となっている。加藤頭取はロイターとのインタビューで、「年内に0.25%、年度内に0.25%ぐらい」と述べ、来年3月までに計0.5%程度引き上げるとみていることを明らかにした。具体的な利上げのタイミングには言及しなかった。
加藤頭取は、今の日本経済には金利が0.5%程度の成長力があると説明。年度内に0.5%程度というのは、それほど強気の見方ではないないとした。「強く上げてしまうとようやく定着した景気が悪くなる」とし、「あまり拙速に上げることはないと思っている」と語った。
日米の金利差を背景にドル高・円安が進む中、日銀に早期の利上げを望む声が一部で出ていることについては、「総合的な判断が入ってくるかもしれないが、金利政策で(円安是正を)やっていくことはないのではないか」と話した。
日銀が今後買い入れを減額する国債の有力な買い手候補として銀行の動向が焦点となっていることについては、「どのタイミングで、急に増やすということではない」と指摘。運用は「マーケットとポートフォリオを見ながらやっていくことに尽きる」と述べた。
<ブック割れ中堅企業支援を強化>
みずほ銀行は、株価純資産倍率(PBR)1倍割れの中堅上場企業の成長支援を強化している。日本の中堅企業の中には上場後の成長が低迷している企業も多く、加藤頭取はインタビューで「それが結果的にアクティビスト(物言う株主)に株を買われるなどにつながっている」と話した。
上場する対象企業1500社の中から150社を選定し、企業価値向上策などを提案する部隊を7人で立ち上げたが、手ごたえを感じて4月に70名へ拡大。「事業成長支援部」に格上げしたという。
企業からの相談で特に多いのはM&A(合併・買収)に関するもので、関心があっても専門人材の不足などで踏み出すことができなかった事例も多いという。M&Aなど投信銀行関連の案件は、昨年4月の立ち上げから1年で約2割増えた。
加藤頭取は「これまでは企業価値向上に着意が無くても許されていたが、東証の改革や経済が回り始めたことで、環境が一気に整ってきた」と語った。機関投資家の視線が厳しさを増している上、物価上昇によるコスト高が企業に事業構造の見直しを促しているという。
債務者区分の要注意先や赤字企業の再生にも力を入れており、加藤頭取は注力先を24年度に従来の100社から300社に広げる方針を明らかにした。「経済が動き出し、資金繰り倒産よりも人が足りないことの方が問題になっている」と説明。過去10―20年は銀行があまり取り組んでこなかった分野で、若手行員に企業再生のノウハウを継承していくのも狙いの1つと語った。
(浦中美穂、Anton Bridge 編集:久保信博)
*6月27日にインタビューしました。