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機関投資家の暗号資産に対する関心動向──フィデリティの年次調査から

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2024-06-24 05:30

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  金融大手フィデリティ(Fidelity)の暗号資産(仮想通貨)に特化した機関投資家向けビジネス部門「フィデリティ・デジタル・アセッツ(Fidelity Digital Assets)」は2019年以降、「Institutional Investor Digital Assets Study(機関投資家デジタル資産調査)」と呼ばれる調査を発表し、世界中の機関投資家の暗号資産投資に対するセンチメントと普及のトレンドを測定している。

  2023年の調査では、激動の2022年を背景に、機関投資家の暗号資産に対する見通しは総じて堅調だが、依然としてまちまちであることが示されている。

  ただし、調査期間は2023年5月30日~10月6日までで、米証券取引委員会(SEC)がビットコインETF(上場投資信託)を承認するとの期待から、ビットコイン(BTC)が2万8000ドル付近から4万2300ドルまで上昇した年末の重要な時期を含んでいないことに注意する必要がある。

  暗号資産の時価総額が2兆5000億ドル(約398兆円、1ドル159円換算)を超え、ビットコインが7万4000ドル近くまで上昇、SECがビットコイン現物ETFを承認し、まもなくイーサリアム現物ETFも承認するとみられることを受けて、2024年の年明け以降、認識は大きく変化したと考えられる。

  デジタル資産の歴史上、間違いなく最も大きな出来事は、この調査が実施された後に起きた。すなわち、規制の不確実性を減らし、ひいては価格ボラティリティを減らし、投資家の投資の選択肢を改善するであろうアクション、つまりビットコインETFのローンチだ。

  デジタル資産市場は早期普及からマスアダプションへと移行し始めている。2023年から2024年初頭にかけて、業界のリーダーシップ、プロダクト開発、受託者のコミットメントにおける大きな変化が暗号資産の世界を席巻し、暗号資産への機関投資家の新たな一連のオンランプが可能になった。

  この変化が機関投資家の資産アロケーションの基盤に浸透するには時間がかかるかもしれないが、SECによる承認後、ビットコインETFが機関投資家の間に急速に広まったことは、機関投資家の暗号資産への関心が高まっていることを示しているだろう。

  デジタル資産クラスのボラティリティは、他の資産クラスと比較して依然として高い水準にあるが、時間の経過とともに低下傾向にあり、規制状況の改善や機関投資家向けの商品提供により市場が安定する可能性があるため、今後も低下傾向が続くだろう。

  投資家は、暗号資産のボラティリティだけでなく、様々なブロックチェーン資産のリスク調整後リターンプロファイルも考慮する必要がある。

  2023年に起こった、カストディ、取引、資産管理にまたがる業界インフラの大きな進歩に支えられ、投資家は現在、初期参入者リスクという落とし穴を回避するだけでなく、初期参入者のメリットを活用できる、(まだ新しいが)より優れた製品オプションや投資プラットフォームを手に入れることができる。

  2023年調査の回答者の約37%は、投資の障壁として「適切な価値を測るためのファンダメンタルズの欠如」をあげている。この数字の大きさは、資産クラスの新しさとブロックチェーンの価値測定に関する難しさを反映している。

  しかしこの数字は、2021年の44%と比較すれば減少している。投資家がブロックチェーンテクノロジーや、ユーザーにとってのプロトコルの価値を分析する独自の方法にますます精通していくにつれて、この数字は下がり続けるだろう。

  |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:Crypto for Advisors: Crypto Trends

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