提供:ウエルスアドバイザー株式会社/>
トルコ統計局が3日発表した6月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比71.60%上昇と、前月(5月)の同75.45%上昇を下回り、8カ月ぶりに伸びが鈍化、市場予想(72.6%上昇)も下回った。4月(69.80%上昇)以来の低い伸びとなり、市場ではインフレ率はピークを過ぎたと見ている。
同国のインフレ率はウクライナ戦争のぼっ発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、21年6月(前年比17.53%上昇)から22年10月(同85.51%上昇)まで17カ月連続で急加速した。翌11月(同84.39%上昇)から23年6月まで減速したが、最近は再加速傾向にあり、23年11月以降、24年5月まで7カ月連続で加速していた。
前月比(全体指数)は1.64%上昇と、前月(5月)の3.37%上昇を下回り、3カ月ぶりに伸びが減速、市場予想(2.2%上昇)も下回った。23年5月(0.04%上昇)以来、11カ月ぶりの低い伸び。
メフメト・シムシェク財務相は同日、自身のX(旧ツイッター)で、6月のインフレ率について、「ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)に入った」とした上で、「インフレ率の過去3カ月間の移動平均値は24年末の達成目標と一致している」とし、インフレの先行きを楽観的にみている。
市場では過去の利上げサイクル(23年6月から24年3月まで計36.5ポイント利上げ)のインフレ抑制効果により、インフレ率は予想より早く低下すると見ており、8月に前年比50%上昇か、同50%弱の上昇率に急鈍化すると予想。ただ、その後はベース効果により、減速ペースは鈍るとみている。
セクター別(前月比)のインフレ率は、天然ガス料金を含む住宅(光熱費や修理費)が3.79%上昇(前月は7.08%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、教育は3.47%上昇(同5.63%上昇)、ホテル・カフェ・レストランが3.09%上昇(同5.52%上昇)、通信の2.54%上昇(同1.01%上昇)、食品・生鮮飲料水は1.78%上昇(同1.69%上昇)、ヘルス(薬局・美容)の1.69%上昇(同1.81%上昇)と、いずれも全体の伸び(1.64%上昇)を上回った。
このほか、家具・生活用品は1.62%上昇(同1.87%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは1.56%上昇(同1.62%上昇)、レクリエーション・文化は0.26%上昇(同1.75%上昇)、酒・たばこが0.07%上昇(同4.74%上昇)。対照的に、最も低い伸びとなったのはアパレル・靴の0.58%低下(同9.6%上昇)、次いで、運輸の0.13%低下(同1.16%上昇)だった。
他方、セクター別の前年比(全体指数)は、教育が107.11%上昇(前月は104.8%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、住宅が94.72%上昇(同93.21%上昇)、ホテル・カフェ・レストランが90.67%上昇(同92.94%上昇)、ヘルスは78.51%上昇(同77.67%上昇)と、いずれも全体の伸び(71.6%上昇)を上回った。
このほか、食品・清涼飲料水が68.08%上昇(同70.14%上昇)、酒・たばこは67.93%上昇(同86.48%上昇)、家具・生活用品が67.72%上昇(同69.34%上昇)、運輸は65.67%上昇(同79.1%上昇)、その他商品・サービスは64.27%上昇(同65.9%上昇)、レクリエーション・文化は61.00%上昇(同63.99%上昇)、通信は52.27%上昇(同54.31%上昇)。対照的に、アパレル・靴が47.84%上昇(同50.85%上昇)と、最も低い伸びとなった。
中銀はインフレ率の見通しについて、5月9日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、24年末時点のインフレ見通し(中心値)を38%(前回2月予測は36%上昇)、25年末時点の見通しを14%(同14%)と予想している。ちなみに23年は64.8%上昇だった。
また、中銀が6月14日に発表した市場参加者による最新の6月経済予測調査(月報)によると、24年末時点のインフレ見通しは前月(5月)予想時点の43.64%上昇から43.52%上昇と、2カ月連続で引き下げられた。2カ月前(4月)時点は44.00%上昇だった。1年後の見通しは33.21%上昇から31.79%上昇と、8カ月連続で引き下げられた。2カ月前は35.17%上昇だった。